ネイルという小さな世界を愉しむ
きれいなネイルは、見ているだけで楽しい。爪という限られた小さな世界の中で、色と光が奏でる美の饗宴。それはまるで、自分だけの芸術作品を指先に宿すような感覚である。
私は食品業界で長く働いてきた。そのため、ピアスも指輪もネイルも「衛生上の理由」でずっと禁じられていた。しかし転職を機に、職種は同じでも会社の方針が少し変わり、直接食品に触れる機会が減った。そこからようやく、ネイルという世界を“許されるもの”として見ることができるようになった。
ネイルが苦手だった過去
これまでの人生で、ネイルとは無縁だった。唯一の経験は結婚式のチップネイル。そのときサロンで「甘皮多いですね」と何気なく言われた。まるで「手入れをしていないなんて信じられない」と言われたようで、「は?」と思った。あの瞬間、私は少しネイルが嫌いになった。
きっかけは“お菓子のような爪”
40歳を過ぎたころ、ふとポリッシュを塗ってみようと思い立った。きっかけは、同じバレエサロンに通う多彩なマダムである。彼女は自爪が弱く、ジェルネイルを施していた。その爪がまるでお菓子のように可愛らしく、上品で、見る人の心を和ませていた。
「お菓子のような爪」――その優しく柔らかな雰囲気に心を奪われた。自分もそんな指先を持てたらと、自然に思った。
ネイルを“してはいけない私”という矛盾
40代まで、私はネイルを“禁止する側”にいた。衛生指導の立場として「付け爪、マニキュア、長い爪は禁止」と15年以上唱えてきた。その私が今、マニキュアを塗っている。この矛盾を、今でも完全には割り切れていない。
ただ、現実には私は食品に直接触れない事務職であり、工場に入ることはほとんどない。入る際には必ず手袋を着用する。だからこそ、この小さな矛盾の中で、私は新しい趣味を見つけたのだと思う。
爪という小さなキャンバスの魅力
ネイルは小さいからこそ、美しい。服でおしゃれをしようと思えばお金も手間もかかるが、ネイルはもっと身近で、自由で、気軽に楽しめる。しかも、失敗してもすぐにやり直せる。手芸のように“失敗作が残る”ことがないから、心が軽い。
今の私はドラッグストアや100円ショップのプチプラポリッシュが中心。少しお高めのブランドにも憧れを抱きながら、試行錯誤を重ねている。男子2人の母、40代。ママ友はゼロ。フルタイムで働く、ごく普通の女性である。
指先から始まる、私の小さな挑戦
新しいことに挑戦したい。ひとりでも楽しめる趣味を見つけたい。そして、自分の言葉で発信していきたい――。そんな思いを込めて、このブログを始めた。
ネイルは単なるおしゃれではなく、「日常の中で自分を慈しむ行為」であると今は思う。爪を通して、自分の中の女性らしさや美意識を、少しずつ取り戻していきたい。
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